ドライバーの時給900円⁉未来は…
1.人手不足に高齢化が進む運送業の今後は?
運送業全体の平均年収は、300万から450万ほどと言われています。月収で25万程。その割に、長距離運転手となると1日あたりの拘束時間は「13時間前後」です。時給換算で考えると900円と収入は低水準になってしまうといわれます。
そんな運送業でお勤めで将来が心配だと感じている方も少なくないのではないでしょうか?
現在、運送業界ではドライバーが不足して、現役ドライバーの高齢化が進んでいるようです。国土交通省のデータによると、40代~50代前半という中年層の占める割合が全産業の平均値よりも10%以上も高くなっているとのこと。
Webショッピングなど、暮らしの中にごく当たり前に入り込んでいる宅配便。各社10年前に比べると取り扱い個数は10億個以上増加しているそうです。物を動かす物流の必要性がなくなることはありません。
これらの状況から考えると、昔に比べ、さらには今後も労働者不足から、確保した人材を手放さないよう、良い待遇を用意している企業も増えているはずです。
ただし、近年は労働時間や労働環境の見直しが行われたこともあり、以前ほどは歩合制で稼ぎにくい状況になってきています。
労働時間の短縮に伴い、給料が低くなってしまったドライバーも中にはいるのではないでしょうか?ガソリンの高騰も加わり、収入を増やすことも難しくなっていきそうです。このまま運送業で頑張る方も、転職を希望されている方も、先々を見据えたマネープランもしっかり立てておく必要がありそうですね。
2.老後の環境
⑴退職はいつ?
大手や中堅の運送会社では、60歳から65歳を定年としている会社が多いかと思われます。会社によっては70歳を定年としているところもあります。ところが、全国に数ある運送会社の半数以上は零細企業で、車両を201両以上所有する大手運送会社はなんと全体の1%にも満たないそうです。
そして、中小零細の運送会社には定年がない会社も少なくないです。運送業界は深刻な人手不足のため、ドライバーの高齢化が進んでいます。若い世代の担い手が少ない近年、高齢のドライバーの平均年齢が60歳を超えているという会社も、少なからず存在します。今回は大手運送会社勤務の方の場合でお話させていただいていますので、
今のところの定年は60歳。
定年制度が設けられている運送会社でも、定年後に嘱託や契約社員として働いているドライバーは少なくありません。業務内容によっては、体力がなくても運転さえできれば続けられるのがドライバー職であるといえます。
定年後再雇用として65歳まで勤務することも可能ですが、ライフプランをしっかりたてて、ご自身の家計や体調も考え将来を見据えてく必要がありそうですね。
⑵退職金はいくら?
大手運送会社は、退職金制度が導入されていることがほとんどですが、退職金の代わりに企業型確定拠出年金制度を導入している会社もあります。
企業型確定拠出年金とは、加入者である従業員の年金口座に企業や加入者が掛け金を拠出して積み立てる制度で、運用は加入者自信が行うことになります。
企業型確定拠出年金は60歳以降に一時金または年金という形で加入者に支払われることになるため、退職金代わりとして導入する企業が増えてきています。
企業型拠出年金については、またのちほど触れてみたいと思います。中小企業または零細企業では、そもそも退職金制度が導入されていない会社も少なくありません。もちろん導入している会社もありますが、その多くは中小企業退職金共済制度(中退共)を利用したものです。
中小企業退職金共済制度とは、中小企業退職金共済法に基づき、事業者が中小企業退職金共済事業本部と契約して、毎月の掛け金を納付していく共済制度です。従業員が退職した際、退職金は中退共から支払われます。
支払われる退職金は掛け金と納付月数によって決められますが、掛け金を最低月額の5,000円で拠出する企業も多く、そうなると支払われる退職金の額もあまり多くありません。退職金制度を導入している運送会社で、退職金の相場を見てみると、常務する車両によってもその額に差が出るようです。
基本的に退職金は基本給を基に算出されるため、基本給が低ければ当然ながら支給額もひくくなるためです。大手・中小をすべて含んだうえで、相場を見てみると
小型・中型ドライバーの場合は賃金が低めになることに加え、中小企業の比率が高くなることから、これくらいの金額といったところです。いずれにしても、上記より支給額が少ないことも珍しくないたね、過度な期待は禁物ですね。
まとまった形で退職金を受け取れるのであれば、それに越したことはありません。もちろんないよりあるほうがいいに決まっています。けれど、退職金制度のない中小零細企業でも、老後の資金を考えることはできます。
仮に月1万ずつ貯金したとして、
20年続けば240万です。
大切なのは、老後の生活資金を確保できるかどうかです。個人年金や個人型の確定拠出年金をうまく使うことで、退職金に相当する老後の資金を自分で積み立てていくという方法もあるのです。
⑶老後の二人の家計を予想。
厚生労働省の簡易生命表によると
- 70歳男性の平均余命…約15年
- 70歳女性の平均余命…約20年
ですから、夫は85歳まで妻は90歳まで
生きると仮定します。
- 夫の退職70歳から夫婦二人の生活期間…15年
- 夫死亡から妻一人の生活期間…5年間
総務省統計局の家計調査年報によると、
高齢夫婦無職世帯の一か月の支出…約27万円 収入…約25万円
ここに先ほどの退職金相場を参考に
退職金…700万
この内容を上記夫婦に当てはめると
- ・収入…25万×12ヶ月×15年+8.5万×12ヶ月×5年+700万=5,710万
- ・支出…27万×12ヶ月×15年+15万×12ヶ月×5年=5,760万
この時点で50万不足します。
これはあくまで予想です。今回70歳まで働けるという仮定のもと計算していきましたが、体力的にもきつい職種になるかと思います。それによっても必要になる金額は変わってきますので、一度ライフプランを立てられることをお勧めします。
3.企業型確定拠出年金ってそもそも何?
⑴企業型拠出年金の特徴
日本の年金制度は「国民年金」「厚生年金」「企業年金」などで構成されていることから、
「3階建て」と呼ばれています。
企業型確定拠出年金はこの3階部分となる企業年金等にあたります。企業型確定拠出年金は福利厚生の一つですが、すべての会社に導入されているわけではありません。導入していれば厚生年金にさらに上乗せして年金が給付される仕組みになっており、会社や個人の掛け金を従業員が自分で運用する制度です。
- 【特徴①】運用商品は自分で決める
- 【特徴②】運用結果により受取額が異なる
- 【特徴③】受取は原則、60歳以降
運送会社だけでなく一般企業でも取り入れられている企業は増えているようです。
⑵メリットとデメリット
・税制優遇が受けられる!
- ⑴拠出時…掛け金は非課税
- ⑵運用時…運用益は非課税
- ⑶給付時…公的年金等控除、退職所得控除の適用
・持ち運びができる!
離職や転職した場合でも、その時点で資産を転職先でも企業型や個人型の確定拠出年金で継続して運用することができます。
・退職金と違って万が一会社が倒産しても、社外の口座に積み立てているため、支払われなくなるといった事態をさけられるのも大きなメリットです。うまく利用すると効率的に資産運用できる企業型拠出年金にも
・元本割れのリスク
・60歳まで引き出し不可
というデメリットもあります。メリットだけでなく、デメリットも理解したうえで始める必要があります。老後の資産が国民年金や厚生年金だけでまかなうのが難しいといわれる中で、企業型拠出年金は積極的に活用した方がいい福利厚生といえます。
4.まとめ
1.人手不足に高齢化が進む運送業の今後は?
労働環境改善がすすんでいくと思われます。しかし、給料がすぐに上がることは想像しにくい現状ですので、現在の状況が続くことも見通して、ライフプランを立て、必要に応じてお金を使う・貯めることが必要となります。
2.老後の環境
退職金も公務員のように期待はできません。お勤めの会社いよっても変わってくるでしょうが、少ないことも予想し、福利厚生として企業型拠出年金などが利用できる場合は、うまく使って資産を増やしていきましょうまずはご自身の家計に合ったライフプランを立て、目標額を決めることも必要です!
3.企業型確定拠出年金ってそもそも何?
自己責任で運用する退職金制度です。確定拠出年金を運用の練習だと思って積極的に利用していきましょう!