ほとんどの人が知らない相続税。FPが簡単に解説!
相続税とは?
亡くなった方の財産は、相続または遺贈によって亡くなった方の子どもなどが引き継ぐことになりますが、このように財産を引き継ぐことを【相続】といいます。
そしてその引き継いだ財産には税金が課せられます。
【相続税】とは、相続によって得た利益が大きい場合にかかる税金の事をいいます。
相続税の申告が必要な場合とは…?
相続などにより、財産を引き継ぐと必ずしも相続税がかかるとは限りません。
【基礎控除】といって、一定額については相続税がかからない仕組みになっています。
相続などによって、「財産を引き継いだ人それぞれの課税価格」の合計額から「相続財産の額から控除できる債務や葬式費用」の合計を差し引いた学が【遺産に係る基礎控除額】を超える場合、その財産を引き継いだ人は相続税の申告をする必要があります。
例えば、法定相続人の数が
- ・配偶者
- ・長男
- ・次男
- ・長女
の合計4人であれば、以下のように計算します。
この場合、基礎控除額が5,400万円となるため、資産総額が5,400万円以下であれば相続税はかかりません。
★相続税の申告要否判定コーナー
【相続税の申告要否判定コーナー】-申告要否判定コーナートップ
★相続税の申告のためのチェックシート(令和6年分以降用)(PDF/439KB)
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/sozoku-zoyo/2023/pdf/r05-01.pdf
相続税の申告と納税について
相続税の申告が必要な場合は、
相続の開始があったことを知った日(被相続人が亡くなった日)の翌日から10か月目の日までに、被相続人の住所地の税務署に申告し、納税する必要があります。
期限を過ぎてしまうと、
- ・延滞税
- ・過少申告課税
- ・無申告加算税
- ・重加算税
などが加算され、割高な税金を納める必要が出てきますので注意が必要です。
税理士に依頼することもできますが、簡単な相続税の申告ならご自身で出来る場合もあります。
相続税の対象となる財産とは…
●被相続人が亡くなった時点で所有していた財産
金銭的に価値を見積もる事のできる財産の全て対象となります。
具体的には…
- ・土地
- ・建物
- ・現金
- ・有価証券
- ・貴金属
- ・貸付金
- ・著作権 など
相続開始前3年以内の贈与により取得した財産や相続時精算課税制度を選択した場合に贈与を受けた財産は相続税の課税対象となります。
また、財産の名義に関わらず、被相続人の財産で家族の名義となっているものなども相続税の対象となります。
●みなし相続財産
被相続人の死亡に伴い支払われる「生命保険金」や「損害保険金」、「退職金」などは相続などによって得られたものとみなされ、相続税の課税対象となります。
ただし、「生命保険金」や「損害保険金」、「退職金」のうち、一定の金額までは非課税となります。
●相続時精算課税適用財産
被相続人から生前に贈与を受け、相続税の申告の際に相続時精算課税を適用していた場合、
その財産は相続税の課税対象となります。
この場合相続開始の時の価額ではなく、贈与の時の価額を相続税の課税価格に加算します。
※相続時精算課税制度とは…
贈与を受ける人の選択により、生前贈与された財産を贈与税に変えて、贈与者の死後に相続税の計算に含める事で相続税の計算をすることができる制度
●被相続人から相続開始前3年以内に取得した暦年課税適用財産
暦年贈与制度により生前贈与を行った場合、1月1日から12月31日までの1年間で受け取った財産額が贈与税の基礎控除額である110万円以下の場合、贈与税は課税されません。
ただし、贈与を受けた日から3年以内に贈与者が亡くなってしまった場合には、その生前贈与はなかったとみなされ、相続財産として相続税の対象となります。
相続財産の価額から控除できる「債務控除」とは?
相続財産から控除できる債務とは、遺産総額からマイナスの財産に該当する額を差し引けるものです。
お通夜やお葬式の費用も「債務控除」といって相続財産の価額から差し引くことができます。
【控除対象となる債務】
- ・銀行などの金融機関からの借入金
- ・その他個人などからの借入金
- ・亡くなった後に支払う所得税、住民税、固定資産税などの公租公課
- ・病院に対する未払い医療費
- ・水光熱費、電話代などの公共料金の未払金
- ・賃貸不動産の借主から預かっている敷金
- ・買掛金などの事業上の未払金
差し引けないお葬式代もあるので注意が必要です。
【差し引けない葬式代】
- ・香典返しの為にかかった費用
- ・墓石や墓地の買い入れの為にかかった費用や墓地を借りる為にかかった費用
- ・初七日や法事の為にかかった費用
まとめ
相続税の基本的な事項を解説しました。相続税は遺産総額や相続人の数、控除額によって異なります。
控除や特例をしっかり確認しておきましょう。
遺産総額を正確に把握していないと相続税にも影響がでますので、専門家にご相談することをお勧めします。